商品開発での大事な考え方【若手パティシエ必見!】

働き方・ノウハウ
この記事の内容
  • 商品開発の考案における僕が実行してきたノウハウ
  • おすすめの旬のフルーツの組み合わせ例
  • 見た目・色合いの解説
  • 味覚の解説
  • 若手パティシエが陥りそうな失敗

いきなりシェフから新メニューを作るように言われたけど、何から始めたらいいのかわからないし、何が合うのかもサッパリ…
どうしよう・・・

大丈夫!
パティシエなら誰しも通る道なので、一つ一つ段階を踏んで新商品作りを進めていきましょう!

動画版です。



さて、パティシエとして働いてる人は必ずぶち当たる壁。何だと思いますか?

人間関係?  労働環境?  給料?
などなど、候補を上げたらキリがありませんが今回扱うテーマは

商品開発  についてです!

新商品を開発する。というのはパティシエとして大きくステップアップできる重要な仕事です。
僕も初めて商品開発を任されたときは酷いもんでしたww

ルセットを作るのも時間かかり、試作を進めるのも時間がかかり、試作品をシェフに見せたらボロクソに叩かれる・・・


このループに陥りいつまでたっても完成しない・・・
僕は豆腐メンタルなのでなかなか立ち直れませんでした。

ですが何年も新メニューを任されていると、効率のいい進め方や、考え方、ノウハウなどがだんだんわかってくるようになりました。  
人間ってよくできてますよね(笑)

なので新商品開発を任されたばかりで崖っぷちの人に今回の記事を見て、少しでも役立ててもらえれば僕もうれしいです。

商品開発での大事な考え方【若手パティシエ必見!】

作りたいデザートのイメージ

ただ闇雲に試作を始めても意味がありません。
家を建てるのに設計図が必要なように、漫画を描くのにラフ画・下書きが必要なように。

どんなものを作り出すにも全体の構図が必要です。


僕は経験上、フレンチレストランでのアシェットデセールを最も考えてきたので、その時に重要視している構図の考え方の例を紹介してみます。


アシェットデセールにおける構図例

コンセプト

⇒ 観光ホテルなのでその土地を感じてもらえるデセール 


メイン・サブの材料

 ⇒ 旬のフルーツや、その土地での特産品。それを活かせる材料


食べてもらえる客層

⇒ 格式の高いレストランなので比較的お金持ち高齢者が多い


ボリューム

 ⇒ 3.のことから、少なめで柔らかく食べやすいパーツで構成


グレード(値段)】 

 ⇒ レストランなので原価は高く、量は少なくで考える

と・・・

まずこれらの全体図を考えてから試作に移るとスムーズに進むかと思います。

旬のフルーツ

旬のフルーツを使うことは大正義です。超王道です。

世の中にたくさんで回るので、安い値段でたくさん手に入ります!

新メニュー開発の経験がまだ浅い人は変に奇をてらうより、旬のフルーツを積極的に使っていくことをおすすめします。

ここで僕が実際に考えてきた簡単な季節ごとの旬のフルーツと、その王道組み合わせ例を紹介します!

《1年を通しての旬のフルーツとその王道の組み合わせ例》
1・2月
  • 柑橘系+チョコレート
  • 苺+チーズ系

3・4月
  •  柑橘系+チョコor乳製品  
  •  桜+ミルク系orチーズ系 

5・6月
  • メロン+ミルク系+ハーブ系 
  • 杏+紅茶+チーズ系

7・8月
  • マンゴー+パッション 
  • パイン+キャラメル+バニラ 
  • 桃+ベリー系+バニラ
9・10月
  • 洋ナシ+キャラメル 
  • 栗+カシス  
  • さつま芋+バター+バニラ
11・12
  • チョコ+ナッツ系 
  • チョコ+ベリー系 
  • 柚子+レモン 
  • リンゴ+キャラメル

僕の組み合わせ例を紹介しましたが、他にもさまざまな素材・組み合わせが存在します

他にもたくさんの旬のフルーツを知りたい!という人はこちらのサイトがおすすめです!

      

見た目・色合いのバランス

デザートを考える上でもっとも大事なのは、味のバランスです。

ですがどれだけ味がよくても、見た目・色合いがまずそうだったらおいしい味も半減してしまいます。

僕の持論ですが、デザートの第一印象は味ではなく見た目です。

話が変わるのですが、恋愛や人間関係の第一印象には「メラビアンの法則」というものがあって

第一印象は出会った瞬間に決まるもので、一度形成された第一印象を払拭するのは難しい

出典: ”アルバート・メラビアン ”より引用

だそうです。

これは人間関係だけではなく、デザートにも同じことが言えるのではないでしょうか?
色合いには人間にイメージを思わせる役割があります。その簡単な例を紹介します。



色の組み合わせ例

  • 甘い・かわいい  ⇒  赤・ピンク
  • すっぱい     ⇒  黄色
  • 塩気・ミルク感  ⇒  白
  • 苦い・落ち着き  ⇒  茶色・黒
  • 渋い・リラックス ⇒  緑

こんな感じである程度のイメージを1番早くお客様に伝えることができます。
もっとくわしい色合いを知りたい方はこちらのサイトを参照してください。

フルーツのデセールについてくわしく書かれているおすすめの本↓↓

味の構成

見た目や色合いなど紹介してきましたが、やはりメインは味ですよね!
メインであり、ここが一番難しいポイントでもあります。

味には大きく分けて5つの要素が存在します。

  • 甘味
  • 塩味
  • 酸味
  • 苦味
  • うま味

これらを「基本五味」といい、主にデザートに関連してくるのは、甘味・塩味・酸味・苦味です

僕のアシェットデセールは、しっかり濃い甘味をベースに塩味or酸味or苦味でサポートをする。といった考え方をしています。

なぜならフレンチレストランのコースのデセールは、既にお客様が数種類の料理を食べたあとに、コーヒー・紅茶とともに提供されることを前提としているので薄い味付けではデザートの印象がお客様に残らなくなってしまうからです。

でもこれはあくまでフレンチレストランでの例ですので、パティスリー・カフェ・コンビニスイーツなど、業態が違えば客層も変わってきます。

しかし最終的にはこれが正解!というものは正直言って存在しません。

なのでお客様のことを考え、今の自分が作れる最善の味付けをその都度更新していけばいいのではないでしょうか?

原価

おいしくて華やかなデザートを作ろうとすると必然的に原価が跳ね上がっていきます。

僕も最高のデザートができた!と調子に乗っていたら、原価計算をすると想定していた値段の遥か上を行っていて、作り直し・・・

というパターンが何度かありました。

旬のフルーツは安いと前述しましたが、品種によってはめちゃくちゃ高いものも存在します。

たとえば フランボワーズ!

洋菓子業界ではなくてはならないフルーツ。一般的なパティスリーでも使っている店は多いと思います。ですがこのフルーツ、よくよく計算してみると時期によって変動しますが

1粒約30円~40円強は普通にします・・・

そうです。高すぎるんです。しかも痛みやすく、カビやすいので保管も難しい。
なのでうちのシェフは「よほどのことがない限り使うな!」とよく口をすっぱくしていっていました・・・

なので新メニューを考えるときは、必ず原価計算も視野に入れて試作することを進めます

製造工程の把握

作るメニューのハードルをあげてシェフからのOKを貰いたいばかりに、すごいデザートではあるものの大量生産が難しくて地獄を見る・・・
というパターンもよく起こることだし、僕もよくやってきました(笑)

しかしこれに関してはその店のキャパシティによって変わってきます。

高い値段設定で客席もそこまで多くないような店なら、製造工程が難しいデザートでも問題はないです。

ですが安い値段設定で客席も多く、店の回転率を高く保たなければならないような店だと、製造工程はできる限り簡略化できるデザートを考えるのが望ましいです。

でないと僕みたいに仕込がいつまでたっても終わらず、サービス残業三昧ばかりの地獄の日々が待ってますよww

自分の首を自分で絞めるようなことだけはしない様にしましょう。

一人で全部やろうとせず、周りの人に頼る

新メニューを考えている人の中には、周りの人達に意見を求めずに1人でもくもくと試作している人がいるんじゃないですか?

はい。僕がそうでした。

自分が一生懸命考えたデザートを他の人に否定されるのが怖くて、誰にも聞かずに自分の力だけで作っていた時期がありました。
ですがそれではいつまでたっても成長につながりません

人の考え方というのは、他人と関わっていくことで更新され洗練されていきます

どうしても一人で試作していると、視野が狭くなり必ずどこかで壁にぶち当たります。

一度つまずいたら自分の力だけではなかなか解決できませんが、同僚や先輩に相談することで案外あっけなく解決したりするものです。

つまり僕が言いたいのは

相談しまくれ! ということです。

それは自分の成長のためでもあり、意外に相談相手の成長にも繋がったりします。
結局これが新メニューを完成させるのに一番の近道なのです

まとめ

いかがでしたか?

今回は僕の実体験をもとに新メニューの考え方を紹介しました。
ゼロから何か新しいものを作り出すというのは、とても難しく辛いです。

ですが、いままでの経験を活かし自分のセンスを磨くにはもってこいの機会です。

なにより自分の考えたデザートがシェフに認められ、さらにお客様に「おいしかった」と言われたら何ともいえない救われた気分になります。  

僕もはじめてOKをもらえた時は思わずガッツポーズしちゃいましたww
自分は間違ってなかった!と思えるわけです。


これから新しいメニューを考える皆さんにはこれが成長できるチャンスだと思って、心をおられない程度に頑張ってもらえたらなと思います。

それではご愛読ありがとうございました!

 

 

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